お兄ちゃんが泣いていた。

のぞくつもりはなかったのに、半開きのドアの隙間から漏れる灯りに、寝ぼけまなこのわたしは無防備に近づいてしまった。

ベッドに腰かけて俯いていたお兄ちゃんはわたしに気づかなかったと思う。
わたしからもお兄ちゃんの表情は見えなかったし、
何より低い嗚咽と歯ぎしりの音が、お兄ちゃんと、ドアの外のわたしを阻んでいたから。

わたしは静かに踵を返し、部屋に戻る。
声をかけることなんて絶対できやしない。
わたしに見られたなんて分かったら、バッと布団にもぐり込んでひとしきりもぞもぞやった後、
腫らした目のまま、頬と鼻を真っ赤にしていつもの笑顔を向けてくるだろうから。

「やあ、ミクどうしたの? 何か話があった?また明日にしない?
 今日は遅いし、僕はもう少し譜読みがあるからさ。もう疲れ目でやんなっちゃうよ。ははは」

結局のところわたしたちはオトナの話には鈍感でいないといけないのだ。
お姉ちゃんとお兄ちゃんがこんな性格である以上、いくつになってもそれは変わらないと思う。


だけど。


真ん中は調和の芯


基本的にうちの家族はみんな泣き虫だ。
お姉ちゃんだってお兄ちゃんだって、わたしもリンちゃんも。
レンくんは意地っ張りで隠したがるけど、リンちゃんとケンカしたあとの夕飯の席では二人揃って目を真っ赤にしてる。

「悲しくても、嬉しくても、泣くことはちっとも悪いことじゃない。怒っても、笑っても、感情を露わにすることは大事なこと。だってそれこそが心があるってことだから」
やっぱりお姉ちゃんの教育方針によるところが大きいんだろうな。
昔人間のマスターさんと暮らしていたお姉ちゃん(のちにお兄ちゃん)は
感情を持つにいたるまでにずいぶん苦労したみたい。
だからわたしたちには喜怒哀楽、感情を発達させていく術をたくさん教えてくれた。
きっと私やカイトよりもずっと人間の心が理解できるようになるはずだから、と言って。

エンジンの違いにそれ程の差があるとは思えないけど、
リンちゃん、レンくんを見てると、確かに個性は強くなってきているように思う。
この家で暮らすわたしはよそのミクと比べて優等生よりだと言われるけれど、
自分ではよくわからない。


その晩帰宅すると、決して狭くはない我が家は静かだった。
しんと静まり返った、というよりは息苦しい静寂が誰もいないリビングを支配していた。
「お兄ちゃん…、ミク帰ったよ…?」
二階からがたん、と物が落下する音が聞こえ、わずかな振動が頭上の空気を揺らした。
何だか階段を上るのが怖い。
お姉ちゃんは仕事で今夜は帰ってこない。
リンちゃんとレンくんはがくぽさんと収録だから晩御飯を食べてから送ってもらうと言っていた。

とりあえず電気をつけなくちゃ、とリビングの照明を手探りでオンにすると、
乱雑に物が散らかったテーブルとソファが照らされた。
リンちゃんとレンくんが片づけないままでかけちゃったのかな。
でもソファの上に脱ぎ捨てられたコートは。

「ミク、お帰り」

頭上から振ってきた声に振り向くと、お兄ちゃんが降りてくるところだった。
髪はぐしゃぐしゃで、足元がおぼつかない。
仮眠を取っていたようには見えないのは、焦燥しきった目とその下のクマ、不自然に笑みを浮かべた口元。

「お兄ちゃん?」
「ごめんね、夕飯の準備まだなんだ。ミクは何が食べたい?」
虚ろに笑いながら、わたしの横をすり抜けてキッチンに向かうお兄ちゃんは、おかしかった。

「…お姉ちゃん」
その呼び名を口に出すと、大げさなくらい背中が強張った。
「お姉ちゃんに何かあったの?」
ぎりっと拳を握りしめたお兄ちゃんに恐る恐る問いかけた。
わたしの推測は間違っていないと思った。お兄ちゃんがフツウじゃないときはいつもお姉ちゃん絡みで。
「心配することないよ。…明日帰ってくるのが少し遅くなるって連絡があってさ」
その詳細はコドモには教えてもらえない。
「そっか……」
聞き分けのよい子と評されるわたしは、それ以上追求できない。
知るのが怖い。お兄ちゃんとお姉ちゃんの間にわたしなんかが立ち入るなんて。
お兄ちゃんに解決できないことがわたしに解決できるなんて到底思えない。
でも、お兄ちゃんはここにいて、お姉ちゃんはここにいない。
お姉ちゃんの身に何かあったのかと思うと、胸がざわざわしてくる。
お姉ちゃんのことが知りたい。

わたしの声が届いたのだろうか。
マナーモードの携帯がコートのポケットで震え出し、呼び出し画面を見たわたしは咄嗟に嘘をついていた。
「お兄ちゃんごめん、ちょっと音響さんから着信きた」
怪しまれない程度に急いで自室のドアを閉め、通話ボタンを押した。
「お姉ちゃん!?」

「ごめんねミク、今大丈夫かしら」
こくこくと首を振りながら返事をした。
お姉ちゃんの声は落ち着いていて、少し遠い周囲の雑音が耳に入ってきた。


スタジオに向かう途中の電車で、お姉ちゃんは痴漢に遭った女の子を助けたらしい。
泣きそうな女の子を、男と周囲の好奇の眼の両方から庇って、さりげなく二人の間に割って入り次の駅で鉄道警察に引き渡そうとした。
痴漢は新しいターゲットのはずのお姉ちゃんが抵抗してきたことに不意を突かれて、手加減なしに逃走を図った。
この時も女の子に害が及ばないように立ち回ったお姉ちゃんは怪我をした。
幸い男は取り押さえられ、女の子もお姉ちゃんが助けてくれたことで、駅員室できちんと証言ができたそうだ。
「お姉ちゃん、今どこなの!?」
「病院よ。大した怪我はしてないから安心して。ちょっとした打撲と痣で済んだから」
「うう〜…安心できないよそれ!」
収録の時間が大幅にずれ込んだお姉ちゃんは、今からスタジオに向かうそうで、当然一部は明日に持ち越されるとのこと。
お兄ちゃん、大分端折ったな。
「私のことはもういいの。終わったことよ。…問題があるとしたら一つね。カイトはどんな感じ?」
「お兄ちゃんは完璧にへし折れてる」
「そうね……、ミク、あなたに頼みがあるの」

電話を切って、わたしはベッドにばたんと倒れこんだ。
お姉ちゃんの怪我は心配だけど、具体的に程度を教えてもらったから、悪い方に想像しすぎる心配はなくなった。
後はそれを割り切れない人を立ち直らせる役目を仰せつかった。
これはわたしにとって分不相応な程に大役だ。
何せお兄ちゃんとお姉ちゃんの間に立ち入れないどころか蚊帳の外だったわたしがお姉ちゃんの代弁者役を務めるのだ。
わたしにお兄ちゃんが動かせるのかなんて分からない。
でもお姉ちゃんはわたしを信じて、指名してくれたのだ。
これに答えないなんて、一家の次女の名がすたるという物。

ごろりと一回転して跳ね起きたわたしは、覚悟を決めてキッチンを目指した。


ざあざあと流れ続ける蛇口の水音。
茫と立っているお兄ちゃんの俯いた顔は前髪で隠れて見えない。
口元だけがかすかに動いていて、恐る恐る近づくわたしのことなんてまったく感知できていないのだろう。
「……ちゃんめーちゃんめーちゃんなんで俺そこにいないの何で俺が守ってあげられてないのなんでなんで……」
憑りつかれたように口から吐き出される怨嗟なのか念なのか分からない呟きは、鬼気迫るのと同時にすごく空っぽで頼りなかった。
いつもわたしやリンちゃんの頭を撫でて「大丈夫だよ」って笑ってみせるお兄ちゃんじゃなかった。
置いてきぼりにされた子どものようで、洗いかけのお皿を持った手は泣き出しそうに震えている。

「お兄ちゃん」
その表情が見えるくらい近くに寄ったところで呼びかけると、はっと身を強張らせたお兄ちゃんの手からお皿が流しに滑り落ち、かつんと音を立てた。
存外に俊敏な動作でわたしから顔を背けたのは、兄の威厳を守るためなのだろうか。
「ミク、ごめんね。すぐ準備するから」
「違うのお兄ちゃん!わたし、お姉ちゃんのこと聞いたの。それで」
「っ!誰がそんなこと!マスターか!?」
何でそんなことを子どもに言うんだ!とお兄ちゃんは憎々しげにマスターへの恨みを吐き捨てる。
「違うの、マスターじゃなくて!」
「じゃあ誰が!めーちゃんのことは俺が知っとけばいい。ミクたちに心配かけても仕方ないんだよ」
荒い語気に身が竦む。痛く当たられてるのがびりびりと伝わってくる。
心配だなんて言ってるけど、わたしたちを踏み込ませたくないのがよく分かった。
それも、わたしたちのためを思ってじゃなくて、おそらくお兄ちゃん自身の余裕がないから。
お兄ちゃん一人で受け止めるには重たいけど、わたしたちに知らせたくないのは、多分。

独占欲。


お姉ちゃんに言われたとおりだ。
――あの子が自分のこと俺って言うとき、相当危ういの。

「ミク、悪いけどしばらくほっといてもらえないかな。ちょっと余裕ない」
――脆いところを隠しきれない状態なら。

「ほんとはめーちゃんのとこに今すぐ駆けつけたいけど…」
「わたしたちが邪魔だから動けないの?」

「ミク!何てこと言うんだ!俺は…っ!」
――あなたが喝入れてやって。

ぴしゃっと高い音がお兄ちゃんの言葉を遮った。
わたしの手の平とお兄ちゃんの頬の間で鳴った音。

「え……?」

「落ち着いてよお兄ちゃん。わたしだってお姉ちゃんのこと心配するよ。お姉ちゃんのこと知りたいよ」

「でも、お兄ちゃんが取り乱したらわたしたちどうしていいか分からないよ!」
緊張に震える声は語尾になるとほとんど叫ぶくらいの声量になっていた。
ああ、どうしよう。言いたいこといっぱいあるのに、喉がぎゅうっと詰まって、苦しくて、言葉が出てこない。

熱くなった目の奥から、涙がぼろっとこぼれ出てきて、呆けたようにわたしを見ていたお兄ちゃんが我に返って、キッチンタオルで目を拭ってくれる。

「ごめん、ミク…。君にこんなことまでさせて…」
「違うの!わたし…お姉ちゃんが大変な時、お兄ちゃんが一人で抱え込んでるの、黙って見てるの嫌なの。わたしも力になりたいの…」
しゃくりあげながら伝えると、お兄ちゃんは困ったように笑った。いつものお兄ちゃんだ。
「…そうだね。そうかもしれない。抱え込むっていうかさ、幼いところみせたくないっていうか…」
こんな兄、嫌だろ?と自嘲する背中にわたしは大きくかぶりを振った。
「いいの!嫌じゃない!…第一お兄ちゃん隠しきれてないもん。お姉ちゃんに何かあったらすぐ顔に出るもん」
あいたた…とお兄ちゃんは苦笑した。
わたしも赤い目のまま笑い返した。


「ミクは初めてこの家に来たときのこと覚えてる?」
「うん。初めから一人で活動する他のミクよりはまだよかったと思うけど、いきなり先輩と暮らすって聞いてすごく緊張した」
甘いホットミルクを冷ましながら一口すすった。
お兄ちゃんも自分用のコーヒーに口をつける。
一旦落ち着こうということで、各々飲み物を持ってテーブルについたところだ。
「僕らのこと、どう思った」
「えーと、お姉ちゃんがね、すごくテンション高かった。いきなりぎゅーってされてびっくりした。
 MEIKOさんって言ったらなでなでしてくれた。お兄ちゃんは……」
「僕は後ろで様子をうかがってたな。初めての後輩だしやっぱり緊張してたよ」
「でも、ひと段落着いて部屋に上がったら握手してくれたよね。いらっしゃい、よろしくって」
あの時のお兄ちゃんは物静かな、落ち着いたというより押しの弱そうな…と言ったらがっかりされるだろうか。
お姉ちゃんと比べると控え目な挨拶を交わした気がする。
それでも、わたしがMEIKOさんをお姉ちゃんって呼んで、案の定満面の笑みでハグされた後、
KAITOさんもお兄ちゃんって呼んでいいですか?って聞いたら嬉しそうに笑ってくれたと思う。

「僕は、ミクが来たとき何だかよく分からなかった」
「今までめーちゃんと二人で暮らしてたのに、もう一人増えるってことがいまいち理解できなかったんだ」
今ではすっかり可愛い妹だけどね、と付け加えてくれたのにほっとする。
「ミクが来てから、めーちゃんは張り切っちゃって、色々世話焼いてくれたでしょ?
 めーちゃんの隣は僕の席だったのに、そこにミクが収まって、二人で楽しそうに歌を歌ってて、
 あれ、何だか変だなと思ってたところで、めーちゃんが僕を手招きするから、
 やっと僕の番かと思ってうきうきして寄って行ったら、ミクのサポートや身の回りの世話を一緒にやることになるし」
拗ねたような口調だけど、口元は笑ってるから本当に怒っているわけじゃないのだろう。
お兄ちゃんは続けた。

「正直言うとね、ミクに妬いてた。新しく来た赤ん坊に母親を取られた幼児みたいにね。
 最初は僕も女の子だったらよかったのに、と悔やんだよ。でもその気持ちはちょっと間違ってた。
 めーちゃんとミクと三人で仲良くするのは嫌じゃなかったし、僕も十分入っていけた。
 僕は仲間外れにされたくなかったんじゃなくて、めーちゃんを取られるのが嫌だったんだ」

うわぁ。分かってたけど。それはもうバレバレで分かってたけど。
お兄ちゃんがわたしに直接はっきり言うのは初めてなんじゃないだろうか。
動揺をミルクと一緒に飲み込み、相槌を打った。

「僕にとってめーちゃんは特別だったんだ。それは、先輩後輩でもなくて、姉と弟でもなくて、一人の女性として、
 一年と三ヵ月年上の彼女のことが好きだったんだ。ミクがくるまで僕の中でめーちゃんは絶対だった。
 僕にはめーちゃんしか見えてなかった。」
それは今も変わらないけど、ミクが来てから、めーちゃんに向けていた混ざり合う思慕の感情にくっきりと順列ができたんだ、とお兄ちゃんは言った。

「めーちゃんは僕の想い人であり、同僚であり、家族なんだ。だからこれからは庇護されるだけでなく、彼女を支えていきたいと思った」
「ミクを可愛がるめーちゃんを見て、僕も世話されてるだけじゃだめなんだなって思って、"お兄ちゃん"になる特訓を始めたってわけさ」
「その…あの、やっぱりわたしはお邪魔虫だった……?」
不安がぽろりと虚を突いて零れ出してしまった。
一時的にでもお姉ちゃんを独り占めしてしまって、お兄ちゃんは辛かっただろうから。
「そんなことないよ!ミクのおかげだ。ミクが来てくれたおかげで僕は一歩踏み出すことができたわけだから。
 ミクのこと、リンとレンのことは大切な家族だと思ってる。めーちゃんが楽しそうにお姉ちゃんやってる理由も分かった。本当、いいものだよ弟妹って」
少し気弱になったわたしの頭をお兄ちゃんは優しく撫でてくれる。ああ、わたしは二人のこの手に育てられてきたんだ。
じわりと涙がこみ上げてくる。
「だから、今の僕にとってはみんな大事。誰も欠けちゃいけない、かけがえのない家族だよ。分かってくれる?」
「うん。でも、やっぱりお姉ちゃんが一番なんでしょ?」
「そ、そういう答えに困る質問はなしね」
いたずらっぽく笑ってみせると、お兄ちゃんは困ったように笑った。また。さっきと同じように。

言われなくても、答えがなくても分かってしまう。
お兄ちゃんは思ってた以上に我儘で子どもだ。
わたしたちを保護することよりもお姉ちゃんを独占することに本気なんだ。
相手が妹弟でもその序列に容赦はないんだと。

でもそれはすんなりわたしの中に受け入れられた。
今までもやもやしてたことに答えが出た気がした。

だからわたしも引き際を弁えることにした。
と言ってもやることはこれまでと変わらないんだけど。

「お兄ちゃんが怒鳴ったの、みんなには秘密にしとく。その代り、マスターに聞いたこと怒らないでね」
「分かったよ。取引成立」
わたしに事情を知らせてくれたのがお姉ちゃんだってことはわたしの口からは黙っておこう。マスター濡れ衣ごめんなさい。
「ありがとう、ミク。少しすっきりしたような気がするよ」
「どういたしまして。今夜はちゃんと睡眠取ってね。でないと明日お姉ちゃんを一番に迎えられないよ」
「うーん、努力する……けど、無理かもしれない…」
「お兄ちゃんが逆に心配されちゃうよー」
「はは…、うん、頑張る……」

お姉ちゃん、わたしはここまでです。
後は二人にお任せします。


***
玄関のドアが軽い音を立て、長姉の帰宅を告げた。
「めーこ姉お帰り―」
「お帰り、電車混んでたの?」
「ただいま。遅くなっちゃってごめんね。駅前の百貨店でロールケーキ買ってきたから、ご飯のあとに食べましょ」
コートのボタンを外しながら差し出された包みに、ソファでテレビを見ていた双子がわっと歓声をあげる。
遅延スケジュールにも関わらず、疲れの色を見せていないお姉ちゃんはしかし、少し物憂げに二階に視線を遣る。
その目に捕えられたかのように、盛大な落下音がした。昨夜寝不足だったお兄ちゃんがベッドから転げ落ちる音だ。

「リンちゃん、レンくん、せっかくならジュース買いに行こうよ。美味しいロールケーキに合いそうなワインと一緒にさ」
「おっけー!行こ行こ!」
「あ、リン!さっき貸した50円ついでに返せよ!1000円しかないって言ってたろ」
「分かったよー。ほら、ミク姉、寒いんだから暗くなる前にぱぱっと済ませちゃお!」
上着を羽織るが早いか、双子は風のように玄関に消えて行った。
三人で食べたおやつのお皿を洗い終わった私もそれに続く。
「お姉ちゃん、お帰り。お疲れ様でした」
「ミクも。ありがとうね」
二人に見せたのとは違う、少し含みのある微笑で優しく肩を叩かれ、そこにほんわりと熱が灯った気がした。
そして、お財布を持って玄関に向かう私の背中に、泡を食って階段を駆け下りてくる足音が聞こえた。



「僕はね、めーちゃんにだったら何されてもいい。当たられても、傷つけられても、全部受け止めるよ。
 それくらい彼女には恩があるんだ。まあ、しっかりしてる人だから中々そんな機会もないんだけどね」

昨夜二人で話した間際にお兄ちゃんが遠くを見るような目で独り言のように漏らした言葉。
その執着。そのエゴ。

結局のところわたしたちはオトナの話には鈍感でいないといけないのだ。
お姉ちゃんとお兄ちゃんがこんな性格である以上、いくつになってもそれは変わらないと思う。


だけど。
だけど、わたしだって最近成長したんだからね。



黙って泣かせてあげるくらいには大人になったんだよ。







ありふれた話をそれなりの水準で書くことすら、とても難しいものだなあと最近つくづく思います。
心のうちではこんなに萌えたぎっているというのに!!

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